福重様:2023年2月頃、ちょうど労働安全衛生法の改正が話題に上がっており、リスクアセスメント対象物質の範囲が広がるということで、全社として対応を検討していました。しかし現状把握をしていく中で、SDSの管理状況が現場任せで把握しきれておらず、どの工場がどのSDSを使っているのか、そもそも最新版かどうかも本社では確認できない状態だったことから「今の体制で本当に大丈夫か」という不安がありました。そのような中で、当時のコンプライアンス担当からケミカンからの案内を転送してもらい、一度サービス内容を確認することにしました。
話を聞いた段階ではまだ半信半疑でしたが、デモや資料を通じて「現場でも使えそうだ」という感触を得られたことが大きく、実際に試してみようということで、無料トライアルを経て導入検討が本格化しました。
福重様:当初は、法改正に対応するために全工場のSDSを一元管理する方法を検討をしていました。そのため、まずは「現場で使えるか」を試すために無料トライアルを活用して、少数のSDSをデータ化してもらい、アウトプットの書式や、その結果をもとに検索性や法令チェック機能、データの整合性などを確認しました。
米森様:本社のコンプライアンス担当が、実際の画面で操作感を確かめ、「この仕組みであれば自分たちでも活用できる」という手応えが得られました。画面UIもシンプルで直感的に使いやすいと感じたことで、現場展開にも問題がないと判断できました。
福重様:加えて本社側でもケミカンSDS管理を活用することで、「各拠点のSDS更新状況や薬剤の新規導入を俯瞰的に把握できる」との見通しが立ち、現場と管理の双方にメリットがあると明確になったことで、導入への機運が一気に高まりました。費用がかかったとしても、それを上回るメリットがあると判断したことが、決定の後押しとなりました。
米森様:導入以前は、各工場がそれぞれにSDSを保有し、一元管理ができていませんでした。本社では全容が見えず、「誰に何を聞けばいいか分からない」状態。ケミカンSDS管理の導入により、全拠点のSDSを一つのプラットフォームで管理できるようになり、他工場の使用状況の確認や、リスクアセスメント済み情報の横展開が容易になりました。
栢野様:実際、工場間で作成されたリスクアセスメント結果がExcelで一覧化され、社内の共有フォルダにアップされることで、別拠点の評価結果や履歴を参照しながら、自工場での対応に、より的確に活かすことができています。ケミカンSDS管理を導入したことで、特定のSDSを検索することができ、他拠点の評価結果や履歴を簡単に確認できるようになり、自工場での対応に活用しやすく、拠点間での重複作業を省きながら、統一的な管理水準を保てるようになっています。
また、リスクアセスメントの対応にあたっては、従来であれば、ものによっては1件1時間以上かかっていた作業が、CREATE-SIMPLEとケミカンSDS管理の組み合わせによって、作業時間を大幅に削減することができました(最大90%以上削減)。特にリスクの低い薬剤はチェックリスト機能*を活用することで、工数削減することができ、約3,000件以上のSDS管理を環境変化に沿って対応する中でも、増員なしで対応できています。
*チェックリスト機能:SDSに記載された化学物質について、特定の法令や評価基準に該当する物質を複数のSDSファイルから一括で検索・抽出できる機能。検索条件は法令種別や物質名などで柔軟に設定可能。
米森様:チェックリスト機能ですね。現場ごとのリスク判断の標準化・自動化が進み、リスクに応じた対応フローを整理したことで、担当者のリスクに関する理解促進にもつながっています。また、リスク区分や管理区分を明示的に記録できるため、作業指示の根拠や履歴としても活用されています。「どの物質を、どの程度の管理で取り扱うか」が明確になりました。
栢野様:従来は工場間で情報共有されていなかったSDS情報や化学物質リスクアセスメント結果も、横断的に共有されるようになり、結果として「この薬剤は別工場で既に使っていた」「管理が煩雑なので別の薬剤に切り替えよう」といった判断が、これまで以上にしやすくなりました。
福重様:薬剤の導入可否判断や管理薬剤の最小化にも寄与しており、SDS情報が“使われるデータ”として活用されています。
福重様:もともと各工場が個別に管理していたため、本社がルールを設計・提示したものの状況が見えませんでした。、しかし一元管理によって標準化され、本社⇒工場、工場間で相互に確認できる状態となりました。今後、法改正など変化点があって、工場が対応を迷う様な場合でも、具体的なフォローアップや支援が行いやすくなったと感じます。
米森様:ケミカンSDSの導入により、現場間での情報連携が取りやすくなり、工場間の情報交換などもこれまでよりスムーズに行えている印象です。
栢野様:また、工場間の管理状況の見える化が可能になったことで、後から新たに加わる工場や担当者に対しても統一された基準で教育・展開ができるようになり、グループ全体としてのリスクマネジメント力が底上げされたのではないでしょうか。「ガバナンスと自律的な現場運用のバランス」を支えるインフラとして、ケミカンSDS管理の存在は大きな意味を持っています。
福重様: 化学物質のリスク管理は、直接利益を生まない業務ではありますが、労働環境の整備やコンプライアンス対応として避けて通れないものです。特に拠点が複数ある企業にとって、「どこで何が使われているかを見える化し、一元管理できる」体制は大きな安心につながります。
栢野様: 人手不足の今、SDS管理や法令対応に人的リソースを割くのではなく、システムに任せて、本来注力すべき現場の安全巡視や作業環境改善といった活動に集中することこそが、これからの時代に求められる姿ではないでしょうか。
福重様、栢野様、米森様(生産管理部)