
昨今の労働時間規制の遵守を受け、建設業界全体での人手不足が取り沙汰される中、労働安全衛生法改正を背景に、使用する化学物質のリスクアセスメントを適切に実施・管理していくことが求められています。前田建設工業株式会社では、現場の施工管理業務の一部として、それぞれの現場担当者に一任し、リスクアセスメントの適切な管理を行う体制となっていました。
そこで同社では、受領したSDSをアップロードすることで必要情報を抽出し、CREATE-SIMPLEにおける基本情報・成分情報の入力をスムーズに進められる点に着目し、「ケミカンSDS管理」を導入。また、支店主導で複数現場への展開・管理を図ることで、“誰もができる”リスクアセスメント管理体制の構築を目指しています。
今回は、東京土木支店 土木部の和山透様、安全環境部 野村政志部長に、導入の背景と効果を中心にお話を伺いました。
和山様:東京土木支店の土木部に所属しており、主に現場の内業を支援する部署にいます。その中で業務支援の一環として、CREATE-SIMPLEを使ってのリスクアセスメント業務の作成補助などを行っています。
野村様:私は安全環境部です。法改正対応は難易度が高く、土木部の支援業務と連携しながら、現場で適切に対応できているかを日々確認しています。
和山様:弊社では、2024年4月頃から、リスクアセスメントシートの作成において、社内独自のツールから『CREATE-SIMPLE』の使用を原則とする、という方針が示されました。
それ以前は、各現場の主担当者が社内で保有しているExcel形式のリスクアセスメントツールを用いて各々対応していましたが、ツール構成が複雑であり、入力や修正にも多くの時間を費やしていました。一方で、CREATE-SIMPLEが標準化されたことにより、作業自体はシンプルになりましたが、成分情報や基本情報をSDSから読み解く必要があり、一定水準の知識を持っている者が対応せざるを得ない状況でありました。
また、労働時間規制の影響もあり、会社全体として「現場で対応しきれない作業は、各支店にある支援部署で対応しよう」という動きが加速し、現場担当者から基本情報・成分情報の入力に関する作成依頼が増加していく傾向にありました。実際に作成依頼を受けると、1件あたり数時間の作業でも、案件が重なると確実に業務を圧迫する状況だったと感じています。これらの作業を効率化かつ専門知識を保有していない者との協働化ができないかと考えたのが、今回の検討の出発点です。
和山様:常に新しい製品が入ってくるわけではないため月工数はそこまで多くありませんが、工事の立上り時や輻輳作業が多い場合には、リスクアセスメント対応が集中します。多い時には、1作業所あたり5~6件程度/月の対応が発生していました。
また、SDS確認からCREATE-SIMPLEへの入力まで含めると、1件あたり2~3時間程度かかることもあります。件数自体はさほど多くありませんが、作成依頼から作成期限までが非常に短く、進行中の業務を止めて対応せざるを得ないケースが多々発生する状況でした。
和山様:データ入力の効率化かつ知識のない者との協働化という観点から、CREATE-SIMPLEへの自動入力に対応できるツールを調べていく中で、「ケミカンSDS管理」が最初に目に入りました。
特に魅力と感じたのが、SDSをアップロードすることで内容が自動でデータ化される点です。SDSを見ながらCREATE-SIMPLEへ手入力する作業を減らせることが、最も効果が大きいと考えました。
また、今後、複数現場で受領したSDSをアップロードすることで、データベースとしての活用が可能となり、他現場で同製品を使用する際にも再利用できるのではないか、というイメージを持てたことも後押しとなりました。
和山様:導入前は、CREATE-SIMPLEの帳票作成のできる人が限られており、特定の人に業務が集中していました。特に、成分情報の入力は、SDSの構成を理解しないと判断が難しく、入力ミスが発生しやすい部分だと思います。
「ケミカンSDS管理」導入後は、SDSをアップロードするだけで、リスクアセスメント対象のSDSが容易に判断でき、一度のクリックで必要情報が転記されたCREATE-SIMPLEファイルの出力が可能となるため、リスクアセスメント対応の難易度が格段に下がりました。その結果、専門知識を持たない派遣スタッフでの対応可能な業務範囲が広がり、業務の協働化を図ることができています。
現在は、約20現場で「ケミカンSDS管理」を活用したリスクアセスメント対応を行っています。今後は、利用マニュアルを確立させ、さらに活用現場数を増やしていくことで、現場で従事する者が直接SDSのアップロードからCREATE-SIMPLEのダウンロードまで実施できるような組織づくり、支店にてアップロードされたSDSの適切管理(データベース化)を促進していきたいと思います。「知識依存の作業」状態から、「手順を踏めば誰もができる作業」に近づいてきた点は、大きな変化です。
野村様:SDSは5年経過すると改定確認が必要となりますが、導入前は現場ごとに管理を一任していたため、改定が必要となるSDSを見落としてしまうリスクがありました。
「ケミカンSDS管理」導入後は、改定が必要なSDSを一目で確認できるようになり、支店側での確認負荷が大きく下がりました。当支店では、40件ほど施工中の現場がありますが、どの現場でどのSDSが適切に使われているかを俯瞰して把握できる点も、管理面での改善だと感じています。
和山様:今後は、当支店だけでなく会社全体として活用範囲を広げていくことで、活用すればするほどSDSのデータベースがさらに拡充され、価値が高まるツールだと思います。
野村様: 化学物質の対象は今後さらに増えていきます。管理する側、使う側の負担を考えると、いかに簡単に扱えるかが重要です。現場や若手の負担を重くしすぎずに運用できる仕組みとして、「ケミカンSDS管理」のようなツールは有効だと感じています。

