医薬品・試薬製造を行う極東製薬工業株式会社では、化学物質に関する法規制対応の強化とSDS管理の効率化を目的に、「ケミカンSDS管理」を導入しました。
以前はOCR検索を組み合わせた汎用の文書管理システムでSDS全文検索を行っていましたが、検索精度や作業負荷に限界がありました。 2021年の化管法改正をきっかけに、従来の手作業中心の管理に限界を感じ、抜本的な解決策として注目したのがケミカン。現在は品質保証部から開発部門へと活用が広がり、業務精度とスピードの両立を実現しています。
私たち品質保証部では、法改正があるたびに原料の該当可否をチェックしなければいけないのですが、それがとにかく手間と時間がかかる作業でした。
従来は、社内登録名称で検索するほか、SDSを文書管理システムに格納し、OCRを使って全文検索していました。ただこの方法だと、1物質ずつ検索する必要があるうえ、OCR精度の低さも無視できませんでした。実際、検索漏れや誤判定が発生したこともあり、精度への不安は拭えませんでした。
特に印象的だったのは、化管法(化学物質排出把握管理促進法)の大幅改正があった時期です。数百物質を対象に、5〜6人で手作業で分担し、1〜2週間がかりで確認作業を行いました。手間も時間もかかるうえ、業務負荷が大きく、「次に同じような改正が来たら、もうこの体制では乗り切れない」と感じていました。
きっかけは2022年のオンライン展示会です。展示ブースでケミカンを見かけ、動画やウェビナーを視聴してみると、SDSが成分データベース化されていて、CAS番号で検索でき、チェックリスト機能で多数の物質を一括で抽出できると知りました。
「まさにこれが欲しかった機能だ」と直感しましたね。
全文検索とは違い、成分情報を明確に絞り込めるなら、人手では難しかった“漏れなく探す”ということが現実的になると感じました。
もちろん、検索機能が一番の魅力でしたが、それだけではありません。導入のしやすさも非常に大きかったです。
まず、初期費用がゼロで、年額費用だけというのが、決裁者への説明でも大きな後押しになりました。弊社ではGoogle Workspaceを導入しており、クラウドサービスに対する社内の理解や慣れがあったことも、障壁がなかった理由の一つです。
また、工場長が出席する安全衛生委員会で法規制調査の業務を日頃から報告していたため、工場長にも「これで作業が簡単になるならいいじゃないか」と納得してもらえました。結果的に、提案から導入決定までは非常にスムーズでした。
まずは品質保証部が主担当となって導入し、法改正対応や原料確認作業の場面で活用を始めました。従来はSDSを1件ずつ目視で確認していたのが、チェックリスト機能により、該当物質の一括抽出が可能になり、確認・通知・対応が大幅にスピードアップしました。
現在は、製品開発部門にもアカウントを付与し、CAS番号で登録原料を検索できるようにしています。 以前は社内登録名称の違いから同一成分の登録済み原料が見落とされ、重複登録されることもありましたが、CAS番号検索で回避できています。
また、弊社ではSDS作成にNITE-Gmiccsを使っているのですが、NITE-Gmiccs未収載の原料についてもケミカンに保管されたSDSを参照しながら作成できるため、ストレージとしても活用しています。
一番は、法改正時の対象物質抽出が格段に効率化されたことです。以前は、5〜6人で1~2週間かけて実施していた作業が、ケミカンを使えば1人でも半日で完了する規模になりました。
また、チェックリストで抽出した結果と、従来の手作業とを比較したところ、手作業では見落としていた物質が見つかりました。その瞬間、「こういったツールがないと限界がある」と強く感じました。
さらに、SDSごとの固有URLが発行されるため、SDSの参照依頼や社内共有も非常にスムーズです。文書を探してもらう手間がなくなり、「情報を伝えるだけ」の時間すら削減されています。
現在はケミカン、Excel台帳、文書管理システムの三重運用になっていますが、将来的にはケミカンへの一元化を目指しています。
特に、毒劇薬や医薬品原料など、SDSに記載されない規制情報を自社台帳に追記している現状があり、それらをケミカンに入力でき、SDS更新時にも情報が自動的に引き継がれるようになると非常にありがたいですね。
また、今後はケミカンとNITE-Gmiccsとのデータ連携によって、GHS区分入力の省力化も期待しています。
ケミカンには無料トライアルプランが用意されているので、まずは実際に使用感を確認してみるのも一つの方法だと思います。私たちも導入前に数ヶ月試用し、検索精度やチェックリストの操作性などを自社の業務に照らし合わせて検討しました。まずは実際に試してみることで見えてくることがあるかもしれません。
仲條様(品質保証部)