古野電気株式会社三木工場では、労働安全衛生法の改正に伴う「化学物質の自律的管理」への対応を迫られていました。従来、約300種のSDSやリスクアセスメント管理は、独自のマクロを組み込んだExcelで運用されていました。しかし、加速する法改正への対応や、データの正確性維持における「手作業の限界」が大きな課題となっていました。
化学物質管理者として体制構築を担う濵田氏は、情報の集約と正確な規制対応の自動化を目指し、「ケミカンSDS管理」を導入。その結果、半年を要したデータ整理をわずか1週間で完結でき、更に法適合への抜け漏れも発見して正確な法対応を進めることができています。本記事では、属人化を排除し、次世代へ持続可能な管理体制を 継承するための戦略的な取り組みについて詳しく伺いました。
濵田様:私は現在、社内で数少ない化学系の技術者として三木工場長直属で仕事をしており、三木事業所の「化学物質管理者」に重点を置いて業務を進めております。
労働安全衛生法が改正され、化学物質管理が「自律的な管理」へと移行しました。自分で判断してしっかりと管理しなさいということですが、従業員の安全を守るために、まずは法令遵守を徹底し、その上で自律的な管理を着実に進めるための仕組みづくりを進めています。
濵田様:工場長を統括安全衛生管理者とし、その下に事務局、安全管理者、衛生管理者を含む安全衛生委員がいます。 安全衛生委員は経営側と労働者側が半数ずつ、そこに産業医を加えた構成です。 私はこ こで、保護具管理責任者のグループとも連携しながら、法対応としての健康診断や環境測定等の運用基準の作り込みや、リスクアセスメント及びリスク低減策の具体化の実務などを中心的に行っています。
濵田様:一言で申し上げれば、「Excelによる管理が物理的な限界を迎えていた」ということです。以前は、自作のExcel台帳で約300種類の化学物質を管理していました。特定の法令に関しては、厚生労働省の対象物質一覧表をマクロで読み込ませて、各物質の該非判定を行い、その他の規制該非については、NITE-CHRIPを参照して個別に確認をしていました。
加えて、自作のマクロはメンテナンスが難しく、不具合が生じるリスクも抱えていました。何より、参照 している情報が「常に最新の法令に準拠しているか」という確証を持てないことが、管理上の大きな懸念事項でした。
濵田様:そうなんです。リスクアセスメントの結果や作業管理の資料も別フォルダで保管しており、そのリンクをExcel一覧表に転記する作業も膨大でした。最初はかなりの時間をかけて作りましたが、運用を維持し続けることの困難さを痛感し、抜本的な見直しの必要性を感じていました。
濵田様:もう困り果てて、「世の中にはきっと便利なデータベースがあるはずだ」とネット検索をしたのがきっかけです。いくつかのサービスを比較検討しましたが、「ケミカンSDS管理」導入の決め手は、契約前にトライアルができたことで、ケミカンを活用してどのように課題を解決できるかイメージできたことです。
また他製品は、AIでデータ化した後の確認はユーザー側に委ねるものが多く、それではいままでと変わりません。ケミカンの場合は、SDSをAIでデータ化して、それを専門スタッフがダブルチェックしてくれるためデータの精度が高く、その点も決め手になりました。
濵田様:弊社は電子機器の製造において、センサーの成型やプリント基板の洗浄、接着剤など多種多様な化学物質を使用します。これらの中には、30年間の保存義務がある「がん原性物質」や、特殊健康診断及び環境測定が必要な「有機溶剤」「特定化学物質」などが含まれます。「データ形式カスタマイズ」を使うことで、現場に馴染みのある「商品名」で情報を参照しながら、その含有物質がどの法令に該当するか、また必要な対策(保護具、健診等)は何かを、一元的に紐付けることが可能になりました。
また含有率が基準値未満の場合でも、対象物質が入っていること自体は把握しておかなければなりません。「それを分かった上で対応は不要」だと判断できていることが大切で、その実現は手作業では到底不可能でした。「データ形式カスタマイズ」は、これを正確に自動化できる点が非常に魅力的でした。
そのほかにも、リスクアセスメント実施状況や濃度基準値設定物質の取り扱いなどを「タグ機能」を使って整理しました。これにより、使用している商品毎にリスクアセスメント対応のステージが一目瞭然になり、 次にすべきことが明確になりました。
*データ形式カスタマイズ:データベース化したSDS情報(項目)をご希望のフォーマットで出力するオ プションメニュー
濵田様:一番驚いたのは作業スピードです。従来の方法で約300種類のSDSを法適合も含めて整理するには、マクロ活用とマクロで対応できない情報処理をNITE-CHRIP参照にて補完しながら6ヶ月を要しました。それが「ケミカンSDS管理」にSDSをアップロードするだけで正確なデータ化が実現し、データによる正確な法適合判定が可能となり、実質1週間足らずで完了できました。協力者の工数も含めて換算すると、従来の30分の1以下にまで短縮された計算になります。
また時間の短縮もさることながら、「間違いのない正しい情報が得られる」ということが最大のメリットです。
今は、従業員の健康を維持管理するうえで重要な環境測定や特殊健診において法令に基づいた「適切で抜けのない活動」ができており、自社における「化学物質の自律的な管理」において少しずつ形になってきています。また、リスク低減過程においても正しい情報とデータに基づいて、社員の安全を守るためになぜこの判断をしたのか?という説明が自信を持ってできることが重要ではないでしょうか。
濵田様:将来的には、化学物質管理だけでなく「労働安全衛生全体のPDCAを回せるツール」になってほしいと期待しています。リスクアセスメント結果や特殊健診・環境測定等の情報をデータ化することで、一元的に管理・分析ができ、計画的な業務推進ができる仕組みを目指していただきたいですね。
また今後は、化学の専門家ではない後任者が、OJTを通じてスムーズに業務を引き継いでもらえるような盤石な体制を完成させたいと考えています。
最後に、導入を検討されている方々へメッセージをお願いします。
濵田様:業務の効率化はもちろんですが、「情報の整理」に困っているなら、まずはケミカンを試してみるべきだと思います。SDSから得られる情報を正しく整理し、規制対応を確実に遂行することは、手作業ではもはや不可能です。
以前は「実現困難」と考えていたことが、ケミカンの導入によって「機能する仕組み」へと変わります。 自律的な管理が求められる今、正しいデータに基づいた管理体制を築くことは、従業員の皆さんが安心して働ける環境を守ることに直結します。迷っているなら、まずは無償トライアルを最大限活用して法令チェックリスト*などの基本機能に触れてみて、その可能性を体感してほしいです。
* 国内外50以上の最新法令による対象物質リストをデータベース化し、各リストに該当するSDSを毎日リストアップします

濵田様(三木工場 化学材料技術担当部長)
